日向まさみち 『本格推理委員会』 (産業編集センター)

本格推理委員会

本格推理委員会

作者はキャラクター小説を目指して書いたらしいんだけど,なんかキャラクター小説の書き方を勘違いしているような.キャラクター登場(紹介)場面とその後のストーリーとが流れとして繋がっていないし,そもそもキャラクターをストーリーに活かしていない.どこかで見たような「属性」を備えたキャラクターを,ポンと引っ張り出してずらずら並べ立てて「さあどうだ」と言われても.あれだ,同人誌即売会でたまに見かける「設定資料集」に無理矢理お話を付け加えるとこんな感じになると思う.主人公が3〜4年前のエロゲによくいたような無気力野郎なのでどうにも感情移入しにくい(同属嫌悪の一種とも言える)のも読んでて楽しくない原因.
一冊の中にあらゆるものを詰め込もうと努力したんだけどまとめきることができなかった意欲作,と好意的に見るなら見えなくもないんだけど.