円城塔 『オブ・ザ・ベースボール』 (文藝春秋)

オブ・ザ・ベースボール

オブ・ザ・ベースボール

第 104 回文學界新人賞受賞作にして第 137 回芥川賞候補作の「オブ・ザ・ベースボール」と「つぎの著者へつづく」の二篇.ともに衒学的なテキストを駆使して人間の知性の及ぶ限界を表現した話.だと思ったんだけどあってんのかな.正直よく分かんねぇや.わはは.
オブ・ザ・ベースボール.一年に一度だけ人の降る田舎町,ファウルズのレスキュー・チームの男の話.何を成し遂げたわけでも無いのに達成感のあるラストは妙なおかしみがある.ナンセンスな話.
「つぎの著者へつづく」.「私」が自分と類似した作品を遺した R 氏の足跡を追う.あとから付け足された大量(ってほどでもない)の脚注は先人たちの知性の足跡を示す.でいいのかな.本文と註を行ったり来たりしているうちに煙に巻かれだんだん何を読んでいるのか分からなくなる.