ジョン・クリストファー/中原尚哉訳 『トリポッド 2 脱出』 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッド〈2〉脱出 (ハヤカワ文庫SF)

ぼくは、キャップをかぶるくらいなら死んだほうがましだ。

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トリポッドに支配されて数世代が経った世界.人々は現在とさほど変わらない静かで平凡な日常を過ごしていた.大人になる際にトリポッドから与えられるキャップを頭にかぶる義務以外は.トリポッドとキャップの存在に疑問を抱いたウィルはキャップを着けない自由市民のいるという南の山脈を目指す.
ポスト・ホロコーストもののジュヴナイル.少年たちの冒険は「MOTHER」のようなワクワクハラハラと残酷を,旅の出会いと別れは「ミノタウロスの皿」のようにほんの少しの安らぎとどうしようもないやるせなさを.ぎゅっと濃縮したエンターテイメントの粋と,しっかり織り込まれた残酷さ.通過儀礼を拒否したがる子どもを仮託した物語と評するのは簡単だけど,それで片付けてしまうにはあまりに怖すぎる物語.
面白かった.1 巻を読んだのは 2 年前になるのだけれどなぜ私は今日まで積んでいたのかと以下略.とりあえず連休中に 4 巻まで読むぜー.