ジョン・クリストファー/中原尚哉訳 『トリポッド 4 凱歌』 (ハヤカワ文庫SF)

トリポッド 4凱歌 (ハヤカワ文庫 SF)

トリポッド 4凱歌 (ハヤカワ文庫 SF)

トリポッドたちの都市へ潜入したことにより異星人たち母星から 4 年後に大型船がやってくることが分かった.その日までに異星人の撃退を果たさなければ地球は完全に滅んでしまう.自由市民たちは世界の各地に散り情報と仲間を集め,そしてとうとう反抗の日,地球上に三ヶ所存在する異星人の都市への同時攻撃を仕掛ける.
完結編.自由市民たちの反抗準備は淡々と,抑えた表現で組み上げられていく.まあ普段からラノベばっかり読んでいるから淡々としているように感じたのかもしれないけど,みっちりした密度で論理的に描かれる事件や出来事にはやっぱりわくわくする.捕らえたルキとのコミュニケーションもそのいちいちが面白い.
共通の敵を前にしても団結しきれない人間が,むしろ統制を見せていた異星人を殲滅した.自由と自律は甘くないってことかな.主人公とはいえ実力不足をはっきりと指摘されるウィルはヒーローになりきれない.児童文学とはいえ甘くない.だからこそ,理想的な児童文学足りえるのかも知らん.
ぐてぐて書いてきたけどすっげー面白かったです.