大西科学 『ジョン平とぼくと2 ジョン平と去っていった猫』 (GA文庫)

高校 3 年に進級する前の春休み.ジョン平とぼくが化学室のドアを開けるとそこには見慣れない女の子・三葉が立っていた.三葉は何ものかに追われている,かくまってほしいというが.魔法と使い魔が日常に存在する,ちょっとだけ変わった現代日本を舞台にしたファンタジー,シリーズ 2 作目.
1 巻を読んでからだいぶ間が空いちまった.どこか変てこな女子中学生の三葉としっかり者のモルモットのオーランジェの変てこコンビに序盤から抱かされる違和感は終盤になって明らかになるわけだけど,三葉に与えられた能力がある意味非道.ってか女子中学生にその力を与えるあたりがマジ鬼畜.さらには失恋間もない男子高校生に寄り添わせるとかマジ外道.まあ簡単に言っちゃえばニンフェットに近いものなんだけど,望まない力に戸惑い,重と仲良くなりつつもその力のせいで別れを決意する結末は不思議と余韻が残る.ぼんやりしているようでどこか見透かしているようなジョン平の挙動や,保護者代わりのエンダーなど,重の日常と成長を見つめる脇のキャラの存在感も強い.相手さえまだ見つかっていない重の恋はそう簡単には成就しないかもしれないけど,出会いと別れは何度も繰り返すもの.大きくなれよ少年.