みかづき紅月 『おまもりひまり 1 浪漫ちっくメモリー』 (富士見ファンタジア文庫)

女の子の姿をした物の怪たちに囲まれた軟弱野郎の桃色ハーレム日常.プロローグはやたら説明調なものの,初っ端からピンク色のアタックコンボを絡めての攻防が始まるおかげで説明的と感じる暇はない.原作はタイトル以外はまったく知らずに読んだのだけど,そのため原作のだいたいの設定はたった 30 ページだけですぐに把握できた.すげえ!
お話のほうはまったり学園生活にほんのりエロスのトッピングを塗した,まあ他愛ない萌えラブコメ.普通の学園生活とか友人とのやり取りだと地の文にまだ硬さが残るかな〜? と過去 2 冊では思っていたんだけど,いくらかエロを配合すると,その日常や生活描写のぎこちなさがとたんにスムースなものになる.その様変わりはさながら水を得た魚の如くノリノリ.本職流石だな.エロい話に喪った母性を絡めてくるあたりもいい感じのプチ背徳(なんだそれ)でよろしいと思った.原作の力もあるのかもしれないけど,作者の一般向け作品ではこれが今んとこベストかもしれないよ.原作未読でも作者のファンなら楽しめると思う.面白かったです.