神林長平の処女作を含む六作の短編集.デビュー作
「狐と踊れ」は薬を毎日摂取しないと胃が逃げる,未来の管理社会もの.どこをどうすればこんなア
イデアが浮かぶのかさっぱり分からねぇ.
「敵は海賊」は同名シリーズの元ネタになった話かな.シリーズ未読ですが,ラテルとアプロのスマートな会話のやり取りにキュンキュンした.安直だけどボイルドとウフコックのコンビを思い出す.情報化時代の「忙しさ」の姿を描いた
「忙殺」.情報処理と社会システムの法則からあのラストに繋がるとは思わなかった.「忙しさの絶対量はつねに増大する」.日々からだに刻んでおります.皮肉の効いた短編はどれもはっちゃけたア
イデアで遊んでいるような感じで,こないだの『時間蝕』よりずっと面白かった.