- 作者: 紙吹みつ葉,双
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/08/30
- メディア: 文庫
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どことなく『クダンの話をしましょうか』のようなバックボーンを感じる話だけど,元気で行動的で語尾が「っス」のヒロインに引きずられるように話の雰囲気は対照的.機械的なメッセージしか発せなかったジンが欲求を取り込むことで少しずつ個性を獲得していく様子が面白い.意思を持った呪いの懐中時計のくせに,音声やテレパシーではなくケータイへのメールでコミュニケーションをとるってのがいかにも現代的っスね.説明調が強い序盤や,一昔前のアイドルの親衛隊みたいなクドいネットコミュニティの描き方など,話運びはどっちかというとぎこちなさが目立つかな.でも,一方的に欲求と記憶(良いものも悪いものも)を奪い,意図せず「人生を変える」力,というアイデアはすごく面白いと思うんだ.クドさがあまり良い方向に出ていないこと,そしてその面白いアイデアを正直あまり生かし切れていないのがもったいなく感じる.けど続きが出るならひょっとしてひょっとするかも? 期待くらいはしてもいいよね,と.