大槻ケンヂ 『ステーシーズ 少女再殺全談』 (角川文庫)

ステーシーズ―少女再殺全談 (角川文庫)

ステーシーズ―少女再殺全談 (角川文庫)

15 歳から 17 歳の少女たちが狂死,その後に人肉を求めるゾンビとして蘇る現象が全世界で発生.ゾンビとなった少女たち"ステーシー"への対抗として武装した再殺部隊が編成され,意思を持たぬ少女たちを殲滅する.
2000 年に刊行された『ステーシー 少女ゾンビ再殺談』に外伝二編を加えた「全談」.ストーリーはロマンチックなハードボイルドのようであり,セカイ系の王道のようでもあり.さえないおっさんのもとに現れた少女がひとこと,「あたしを再殺する権利をあげる」.いやあ,趣味悪ぃよなあ.でもってときめくよなあ.ほら私ももうさえないおっさんだからさ.男と少女の閉じた世界を描きながらその関係が徹底してプラトニックなのがなおさら悪趣味とときめきに拍車をかけていたように思う.二百発の弾丸や百六十五分割をプラトニックと呼んでいいものかは知らないけどね.
ってことで面白かったのだけど,あとがきの「『なぜか泣けた、ぜひ外伝を」とのリクエストが殺到」って本当かいな.「なぜか」って.ばーか.