- 作者: 泉和良
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/05
- メディア: 単行本
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恋愛は甘くて音楽のように心地の良いものだと思っているやつがいたら死ね。
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素敵な相手と運良く巡り会い結ばれさえすれば、あとは何の痛みもない幸せな日々が待っていると思っているやつや、現にそうやって辛苦とは無縁の簡易恋愛だけに生きているお気楽なやつは今すぐ死ね。
恋愛を軽んじて、交際相手を次から次へと簡単に代えるようなやつは論外なので地獄に落ちろ。
恋愛とは人を狂わせる病気だ。
この世で最もたちの悪い呪いだ。
かかったら最後、そこから逃れるには死ぬしかない。適当に自分を騙し妥協することで、安全な選択肢ばかりを取ることもできるが、そんな根性のないやつは最初から死ね。
結局誰だろうが、全員死ね。
ピンク色の髪・眉・睫毛と虚言癖を持つスピカ星人遥香と,五億歳の地球人水井の,終わりから始まる恋愛小説.どこにでも転がっていそうなファッキンな恋愛話.
どっかしら駄目な部分を抱えながら自意識過剰な普通の人たちの,ぐだぐだした恋愛のしょーもねぇことしょーもねぇこと.第三者から見ればそれだけのことを,語りとテキストでぐいぐい読ませてくれた.「疾走感」と言っていいのか分からんけど鮮烈.行き場のない恋愛感情を宇宙人に仮託し情に依って描きながら,同時に地に足のついた生活感も強く印象に残る.どこか不安定なのに安定している,みたいな.買い物や飲みといった日常の所作の描き方も上手く,場面がビジュアル的に容易に浮かぶのが良かったのかな.ここ何年かで読んだ一般文芸では恋愛小説と言えば熱く走るか冷たく距離を置くかのどちらかが,あるいは振り幅が極端なのが多かったもんで,この立ち位置は不思議で新鮮に思えた.どんだけ読んでないんだという話ですが.
『エレGY』はピンとこなかったのだけどこちらはすっげー良かったです.文学フリマの前に読めて良かったぜ.