- 作者: 打海文三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/12
- メディア: 文庫
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戦争に付きものの政治・宗教・カネはもちろん話に絡むものの扱いはむしろ軽い.右に偏った男根主義,女性だけのマフィア,孤児だけの部隊.描いているのは間違いなく戦争なのに,個々人の社会的ポジションや所属するコミュニティが生でぶつかり合う,比喩としての「戦争」を描いているかのような錯覚を覚える.逆代理戦争,といって伝えられる自信はないが,なんかそんな.少年のような言葉を遣い,作中ではほぼ「姉妹」と称され区別されない主人公,月田姉妹もこの現実感と遊離感(?)の同居した戦争を掻き回してくれる.不思議で不安で,面白かったです.