ゲイリー・シュミット/上野元美訳 『最高の子 牛小屋と僕と大統領』 (講談社文庫)

最高の子 牛小屋と僕と大統領 (講談社文庫)

最高の子 牛小屋と僕と大統領 (講談社文庫)

クーパーはニューハンプシャー州ニューリンカーンの片田舎で暮らす 14 歳の少年.一年前に祖母を亡くし,唯一の肉親だった祖父も静かに息を引き取ってしまう.周囲の反対を押し切り,祖父の遺した牧場をひとり引き継ごうとしたクーパーだったが,時期を前後して彼の周囲は急速に慌ただしさを増していく.
ひとりの少年が祖父の死をきっかけに視野を広げ,周りのおとなたちに助けられて成長する.オーソドックスなジュブナイル.世の中には「善」と「悪」が理屈抜きに存在するかのような描き方はかなり気になった.大統領選挙や政治を扱ってるのにこんな単純でいいのかなあ.まあアメリカ人の作者が書いたものだしそもそもの対象年齢がどこにあるのかにもよるのかもしれないけど,一面的な印象がかなり鼻についた.まあそれはそれとしてカバー裏のネタバレが酷い.作者はクーパーを付け狙う「不穏な空気」の正体を終盤まで隠しておこうとしているのに,カバー裏であっさり明かされちゃってるんだからしょうもない.少し気を使ってくださいよう.