伊藤計劃 『METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS』 (角川書店)

METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS

METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS

同名ゲームのオリジナル小説版.この戦争がかつての戦争と違うのは民間軍事会社により ID 登録された傭兵が ID 登録された兵器を使用する,完全に管理制御された代理戦争であること.駆り立てるものは国家でも思想でも民族でもなく,世界経済の一部と化した"戦争経済"だった.
最高でした.ナノマシンによってシステム化された戦争経済とその下で犠牲になる人々のディテールは劇的.これでもかと体を痛めつけられる老いた英雄スネークも凄まじい迫力をもって描かれる.それぞれの過去を背負い,苦しみながら戦うスネークたちの姿は読んでいて苦しくなる.それだけに少しの希望と安らぎを与えてくれるラストには心から安堵した.ほんと報われてよかったよぅ ( つд`)
シリーズは飛び飛びにしか遊んでない私なので小島監督の思想がどのくらい反映されてるか分からないのはちと悔しいかもしれない.積んでる最新作も崩そうかな.戦争小説としてはもちろん,ノベライズとしても理想的だったんじゃないかな,と.