三浦勇雄 『聖剣の刀鍛冶4』 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈4〉 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈4〉 (MF文庫J)

独立交易都市の市長のもとを訪れてきた軍国からの使者.彼からの申し出は聖剣を作るための,それをもって封印されたヴァルバニルを殺すための,両国の聖剣鍛造の技術交換だった.
今回もまたいい意味で暑苦しく,いい意味で少年漫画的王道.端的に言ってカッコイイ.限りのある時間の中で互いの信頼を深め結束を強めていく男女然り,その裏で動く大きなもの然り,量産型聖剣と人外部隊の決闘また然り.お約束を踏まえながらもそれに寄りかからない(それだけではない)描写は丁寧かつ素直.そのためか異世界を舞台にしながら場面ごとに絵面が容易に頭に浮かんで非常に読みやすい.今まで勢い一辺倒だった作者さんが MF らしいラブコメ分と融合したことでお話がマイルドに昇華された,といっていいのだろうか? 何でもラブコメにすることに定評のある MF 文庫 J の中でも成功したといえる好例かもしれない.面白かったです.