ジェイムズ・F・デイヴィッド/公手成幸訳 『時限捜査』 (創元推理文庫)

時限捜査上 (創元推理文庫)

時限捜査上 (創元推理文庫)

時限捜査下 (創元推理文庫)

時限捜査下 (創元推理文庫)

西海岸を中心に幼児ばかりを狙う連続殺人鬼,通称クレイドルラバー.ポートランド市警はクレイドルラバー特捜班を編成し,殺人課の刑事カイル・ソマーズを班長に任命する.幼い娘を事故で失い,アルコールにおぼれて休職していたカイルは死んだ娘と同じくらいの子どもたちを殺すクレイドルラバーを捕らえることに全力を尽くす.やがて捜査線上に犯人とは別に,どうやら子どもたちを救おうとしているらしい「青い肌の老人」が浮かび上がる.
幼児を狙う殺人鬼と子どもを守ろうとする謎の老人,その両者を追う殺人課刑事.解説ではクロスジャンルと説明しているけど,要は SF やミステリの味付けをしたオーソドックスな刑事小説というと分かりやすい.上巻を読み終わった時点では SF ともミステリとも判断つかないなんとも変な話だなあと思ったのだけど,下巻を最後まで読んで納得した.なんとなく既視感のあるラストは劇場版ドラえもんかな*1.構えて読むと肩すかしを食らうだろうけど,すいすいと読みやすく気軽でキャッチーなエンターテイメントとして楽しむ分には悪くないと思った.

*1:具体的な作品名はネタバレなので伏す