ドン・ウィンズロウ/東江一紀訳 『犬の力』 (角川文庫)

そう、神はいない。

犬の力 上 (角川文庫) - はてなキーワード

ベトナム終戦後の 1975 年から約 30 年,アメリカ麻薬取締局(DEA)とメキシコの麻薬カルテルの終わりなき戦いを,そして正義と復讐に燃える DEA の捜査官と麻薬カルテルの"親方"の長い因縁を描く.メキシコ版ゴッド・ファーザー.麻薬,武器,金,ひとは流れ,警官,チンピラ,神父,売春婦,多くの者が関わっては消えていく.まったく終わりの見えない泥沼はまさに麻薬戦争.ただひたすら重い泥沼のなか,いかにもなメキシコ人気質を備えた,憎たらしくも愛すべきメキシコ男たちの存在感が強烈だった.強烈な情と生命力とユーモアを備え,メキシコの熱い太陽にも負けない.それだけに,いなくなったあとの,読み終わったあとの寂しさもまた半端ない.最高でした.