三門鉄狼 『集団美少女戦士キューティ・パンツァー』 (メガミ文庫)

「……委員長は?」
問うと、曜子は少し戸惑いの表情になって、
「聞かなかった? 沙詠ちゃんは、テセラクトの消滅と同時にこの世界から出てしまうのよ」
「ふうん……」
聞いてない、というふうに直は首を横に振る。
だったら、もう少し話をしておくべきだったかな、と思う。僕少女の委員長は彼女だけだったのだから。

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唯一正しいエンディングなどない。
だからこれは、一つの解釈だ。

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余剰次元」から三次元へ向けて,その生息範囲を広げるべく侵略してくる次元怪獣テセラクト.順次侵攻してくる 14 体のテセラクトに対抗すべく集められたのは,並行世界から集められた 1023 人の委員長こと沙詠だった.
第 1 回メガミノベル大賞銀賞受賞作.喩えるならライトノベル版『ぼくらの』かな.ほぼ完全に記号化された 1023 人の委員長と協力して敵を倒し,1023 回の機械的な別れを経験する.しかしながら戦闘と別れの過程はばっさりと切り捨てられる.そしてその先にある結末のデタラメさ加減.物語上での人間の不在っぷり,というと聞こえが悪くなってしまうのだけど,それが読んでて気持ち悪いことこの上なかった.しかし「ゼロ年代」的な空気を突き詰めたのちライトノベルに込めて描くとこういう作品が出来るのかも.そういう意味ではものすごく徹底していた.
帯曰く,「1023人の委員長とくんずほぐれつ」,「最後に飛び出した00世代(ゼロエイジ)SF!!」.ひとつめのコピーはデタラメもいいところなんだけど,二つ目はそう的外れでもなかったんかな,と.個人的には凄く好みの話.良かったです.