冲方丁 『テスタメントシュピーゲル 1』 (スニーカー文庫)

さよならチュース、ミリオポリス。
あたしは今日、死ぬことにしたよ。

テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫) - はてなキーワード

西暦 2016 年,オーストリアの国際都市ミリオポリス.ミリオポリス憲兵大隊 MPB に所属する涼月,陽炎,夕霧の三人の特甲児童は今日もテロリストとの終わらない戦いに明け暮れていた.
新たな事件と過去の事件を繋ぐ,いくつもの絡み合う線,そして襲い来る過酷な運命.『オイレンシュピーゲル』全四巻,『スプライトシュピーゲル』全四巻を締めくくる「終わりの始まり」のはじまり.これはヤバい.MPB のケルベルスたちの姿があまりに強烈すぎる.少女たちの大きすぎる絶望と深い傷と,引き替えと言うにはささやかすぎるちょっぴりの幸せの圧倒的な対比.電車内で読みながらなんど熱いものがこみ上げてきたことか.陽炎のすがるような願いが,そのまま読者(=私)の願いと重なった.直近の国際情勢を取り入れた舞台背景や電子線の迫力も物語をしっかりと支える.冲方丁の「最後のライトノベル」の行方,最後までしっかと見届けたい.

「行け──そして私たちに出口を教えてくれ」