北元あきの 『竜王女は天に舞う2』 (MF文庫J)

「あなたが望むなら、誰も彼も殺して差し上げます。わたくしはあなたの槍であり、盾ですもの。手に手を取り合って舞踏会を踊りましょう。死が二人を別つまで」
「ああ、二人で踊り狂うとするか。ぶっ倒れるまでな」

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魔術士養成機関〈竜の箱庭〉と〈狼の営巣〉の代表者が相対し技を競い合う交流戦の時期が近づきつつあった.〈竜の箱庭〉の代表として選ばれたのはシグ・ヘンケルス,対する〈狼の営巣〉の代表は〈串刺し令嬢〉の名で恐れられる魔術士エリーゼ.お祭りムードの〈竜の箱庭〉には妙な緊張感が漂い始めていた.
七人に分裂した〈血塗れの竜王女〉が,パートナーと手を取り最後のひとりになるまで殺し合う〈ヴァルハラ舞踏会〉を描く,異世界ファンタジー第二弾.今回は「交流戦」という名の学園祭風景.三人のヒロインそれぞれに見せ場を用意して,それぞれのキャラクターを特徴づけるのが目的の巻かな.三者三様の女の子らしさを描き出すことにしっかり成功している.ファンタジー世界でも変わらぬお祭りの情景でありながら,背後に敵やなにか大きなものの存在をにおわせ,緊張感も同時に保たれる.キャラクターも世界観も魅力的,全体的に高いレベルでまとまっているのは間違いない.面白かった.話が動き出すのはまだこれからだけど,期待はしていいと思う.続きを楽しみにしております.