日日日 『ジャンクガール・ジグ 2 負け犬たちの村』 (スニーカー文庫)

「『どうして』は怠慢っす」
またその言葉だ。
「人間の命は読んで字の如く、儚いっす。人生は夢のように短い。『どうして』なんて理由探しをしているうちに、ぜんぶ終わっちゃうっす。それはね、怠ける理由を探しているだけっす。もっとほかに幸福があるはずだ、何か楽しみがあるはずだって、そうやって言い訳して面倒なことを、一生懸命な時間を遠ざけているだけっす」

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政財界に影で大きな影響力を持つ寂憐院一族が支配する土地,不知野.この地の監視役として怪造学会より派遣されていた怪造学者,紡路非罪が惨殺死体となって発見された.真相を探るため潜入することになった空井滅作は,不知野と寂憐院一族に浅からぬ因縁を持っていた.
アンダカの怪造学」シリーズの数年前の物語にあたるスピンオフ.秘匿された土地,禁断の儀式,眼球の生えた村,猿の面を着けた一族.ホラー小説風味の舞台と仕掛けで,話運びは淀みないいつもの日日日.しかし,思わせぶりな設定をいくつも用意しておきながら,ラストは完全に投げっぱなしなので始末が悪い.雰囲気は出ていただけに,「え,これで終わり?」的な.「あえて書かなかった」ようなことをほのめかしているけども,あとがきを読まなければ「アンダカ」と繋がらない,ってのもないよなーと思った.