北野勇作 『メイド・ロード・リロード』 (メディアワークス文庫)

「だから、Jホラーでも、Jブンガクでもなくって、ライトノベルなんだってば」

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ライトノベル書けますか?」.まったく売れず暇を持て余していた中年 SF 作家の湯浅(バツイチ)は,元担当編集者の槙原から電話で話を持ちかけられる.最初の打ち合わせ場所として指定されたのは,絵に描いたようなケバケバしいメイド喫茶だった.
ライトノベルとメイドをめぐる SF 作家の奇妙な冒険.レーベル的にどうなるかと思って読んだら良い意味でいつも通りの北野勇作で安心した.宿屋で電球の交換を頼みに行ったら悪夢的空間が,とか,量子力学シュレディンガーの猫を使った悪ふざけとか.言葉からイメージを広げていって世界を構築し,特に閉じたりはしない.投げっぱなしの悪ふざけ,ってのがしっくりくる.投げっぱなし感がいつも以上に強いのは「ライトノベル」だからなんかな.にしても,それっぽい語彙を使うだけでライトノベルっぽくなるものだなぁと,最初の「何も考えていない」文章を読んで思ったことだ.
てことで良かったです.しかし,レーベルと帯を見た感じでは幅広い層に売りだそうとしているのかと思ったけど,内容がその層とマッチしているかは甚だ疑問ではある.まあ私が気にすることではないわな.