川崎康宏 『ありすとBOBO2 ─下町決戦兵器マスラオ─』 (GA文庫)

「こいつ、ほんとに人間か!?」
もっともな疑問だ。
「デブだって人間に決まってるだろうが!」
そこは言ってないのだが。

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小さな零細工場の集まった下町,東京都大田区大森.工場を経営する老職人たちは,苦しい経営のなか,技術力をあわせてパワーアシストスーツ,益荒雄を作り上げていた.防衛省三菱重工へ売り込むべく交渉を図っていた彼らのもとに,益荒雄の存在をかぎつけた在日米海軍特殊部隊から,遺伝子改造された工作員が送り込まれてきた.
パワードスーツ(見た目はメカゴリラ) vs. アメリカ特殊部隊工作員,下町の決闘! という感じの第二巻.サイボーグカンフーマスター vs. 喋るグリズリーが素晴らしかった一巻に引き続き,今回もすげー楽しかった.肉弾戦と同時に繰り広げられるのは日米文化のぶつかり合い,ってか罵り合い.「日本製品は余計な機能つけすぎなんだよ!」「金融とハンバーガーでぶくぶく太りおって!」.だからあんたらいったい何と戦っているのかと.いいぞもっとやれと.
デブとノッポの工作員コンビ,じじいたち,役人どもといったキャラクターたちも,見事にボンクラ揃いで楽しいこと.やたら死んだり殺したりするわりに感慨の欠片もなく,戦力的にまったく使えない自衛隊はぽんぽん殺されていく.徹頭徹尾貫かれる悪ふざけの姿勢.まったく素晴らしいの一言でありました.