小木君人 『夜が来るまで待って』 (ガガガ文庫)

夜が来るまで待って (ガガガ文庫)

夜が来るまで待って (ガガガ文庫)

なぜそんな簡単に、他人に悪意を向けられる?
なぜそんな簡単に、他人を攻撃できる?

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他人を攻撃しない,傷つけない.自分さえすべて呑み込めば丸く収まる.そんな卑屈な人生観のもと,当然のように目立たぬいじめられっ子として育ってきた高校生の東森鷹兎.罰ゲームと称して学校一の美人・伽夜先輩に告白させられる羽目になったわけだが.
『その日彼は死なずにすむか?』でデビューした作者のデビュー二作目.ひとの魂を食らう化物「夜獣」と,それを討伐する「影子使い」の一族との闇の戦いという異能もの.プラス,生まれながらの才能があったがために受け入れられた告白の行方と,何故か女の子の姿をとって生まれてきた戦いのパートナー「影子」のハルハの関係というラブコメ.一作目の印象からするとずいぶんと丸くなったなあ.誰かを傷つけることを極端に嫌う鷹兎の性格が物語のキーになるはず,なんだけど,今の描き方だと単なるチキンにしか見えない場面が多いのが少し苦しい.続編の発売はすでに決まっているようなので,盛り返してくれるといいなーと期待をしつつ,今日のところは寝る.