兵頭一歩 『デンパ警察 浅墓ガクリ』 (メガミ文庫)

デンパ警察 浅墓ガクリ (メガミ文庫)

デンパ警察 浅墓ガクリ (メガミ文庫)

東京都厚生局電気破壊活動取締部。
通称“デンパ警察”はあくまで通称であって、逮捕権こそ持つ彼らではあるがデンパ警察の取締官は警察官ではない。彼らはその名の通り電力を取り締まる。もちろんただの電力ではない。今日の日本をエネルギー大国たらしめている圧倒的エネルギー、トーキョーボルツ(tkv)なる夢の力だ。

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無尽蔵のエネルギーとともに発生した,クーロンズヘッドと呼ばれる使い魔を取り締まるデンパ警察と,その一員である少女取締官浅墓ガクリの活躍.脚本家兵頭一歩の初のオリジナル小説,かな.エネルギー供給基地となり大きく様相を変えた東京,官僚的手続きに縛られていろいろと面倒なデンパ警察,日本を支配する東京・京都・奈良の三大名家…….前半でだーっと語られる背景は,ディテールとハッタリがうまく噛み合っていて面白い.しかしアイデアを出し尽くした中盤あたりで,物語への情熱も燃え尽きてしまう感じではあった.出だしは好調なのに,最後まで読むと標準的な異能バトルものの枠に収まってしまっている,というね.筆力はあるんだし,もうちとなんとか出来ただろ,という気はした.