千田誠行 『天空のリリー』 (一迅社文庫)

天空のリリー (一迅社文庫)

天空のリリー (一迅社文庫)

「味方を救えないなら、何のために戦うんですか? 仲間を見殺しにして、逃げて……自分だけが助かることが正しいんですか?」

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1941 年.第二次世界大戦真っ只中で反ドイツの気運が高まるソビエト連邦では,10 代から 20 代の女子パイロットのみからなる飛行機連隊が結成されようとしていた.
実在した女性エースパイロットリディア・リトヴァグをモデルに,女子志願兵たちの訓練の日々を描く.話のノリは女子校での青春ものか,女子の部活もの(体育会系)そのものの風情.非常に手堅くまとめていると思う.しかし,ミリタリや歴史に疎いので読み取れていない部分はあるにせよ,モデルとなった舞台や時代を考えると物足りなさが勝るなぁ.戦争に直に面していない,女子訓練生たちだからこその物語,というと強弁くさくなってしまうし.続編の持って行き方では面白くなりそうな気もするのだけれど,いかがなものなんでしょう.