長谷敏司 『円環少女 12 真なる悪鬼』 (スニーカー文庫)

円環少女  (12)真なる悪鬼 (角川スニーカー文庫)

円環少女 (12)真なる悪鬼 (角川スニーカー文庫)

「おまえ、なんか俺に対して、微妙に遠慮がなくなってきてないか」
仁のささやかな抵抗に少女が返した笑顔は、はかなさを脱ぎ捨てて、自信にあふれていた。
「これは、おたがいのことをわかりあってきたっていうのよ、せんせ」
ちいさな魔女の成長が、ひどくまぶしかった。

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悪鬼の彷徨する《奇跡》なき地獄に,ついに再演大系の《神》が降臨した.ここはもはや地獄ではない.魔法消去が弱くなり,魔法使いたちが表立って姿を表すようになった「新しい世界」.
神意のもと人を救い,秩序ある理想世界を築こうとする神音大系の聖騎士たち.それに立ち向かう《悪鬼》仁と小さな魔法使いメイゼル.ラスト直前のシリーズ十二巻.対立軸はかなり分かりやすく,過去の事件の精算も交えながら盛り上がる.物語の根っこのひとつだった「魔法消去」が消えた世界という,新しいルールに基づいた戦いも面白い.魔法消去がどれだけこの世界観に寄与してきたかが分かる.ここにきてのギャグシーンはさすがに少し浮いている気はしたけど,白雪姫対魔女のリンゴ対決は笑った.次が最終巻とのこと,楽しみに待っております.