鳥村居子 『雑魚神様』 (メガミ文庫)

雑魚神様 (メガミ文庫)

雑魚神様 (メガミ文庫)

まるで子供の我が儘だった。八咫烏から顔を離した少女はゆっくりと立ち上がると柔らかく微笑みかけてくる。
「一緒に頑張ろうよ。儂も、もう少し泣くのを我慢してみる」

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天照大神に捨てられ,傷つき,静かに消えようとしていた八咫烏を救ったのは,小さな神様,おまがり様だった.人間に忘れられたことで力を失い,自らの記憶さえ定かではないおまがり様.八咫烏はそんな「雑魚神様」を唯一の主とし,仕えることを決意する.
第 2 回メガミノベル大賞金賞受賞作.「お祭りを成功させてほしい」という誰のものともつかない願いを叶えようと奮闘する小さな神様とお供の話.日本神話と○○○○○をモチーフにした異能もの.あとがきを読む限り,どうやら最初はホラーを意図して書いていたらしく,なるほどこんな変な話になったのかー,と納得した.八咫烏の持つ能力が「同種好転原理(ホメオパシー)」というのはなんかタイムリーだなあとか,敵の正体が×××でひっくり返った(伏線はある)だとか,出てくるアイテムはわりとどれもトンデモない.地の雰囲気は悪くないと思うんだけど,オタクやら俗っぽさやらの描写がまったくなじんでいないのがすごくストレスたまる.個人の好みかもだけど,そこさえクリアできれば,普通に「変な話」として楽しめたかもしれないんだけどなぁ.