山口優 『シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約』 (徳間文庫)

シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約(ちかひ) (徳間文庫)

シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約(ちかひ) (徳間文庫)

「まさに、シンギュラリティ時代(エイジ・オブ・シンギュラリティ)だな。この基地は既に」

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西暦 2030 年代,全天紫外可視光輻射現象──通称「AUVR」により,宇宙は紫色に染まっていた.原因は不明ながら,学者たちの見解は一致していた.このままでは数十年以内に,太陽系は滅亡する.
第 11 回日本SF新人賞受賞作.少女の姿をした人工精神 AMATERAS がもたらす人類の救済とは.作中の「シンギュラリティ」の定義が引っかかって仕方ない(しかし「超シンギュラリティ級人工精神」という響きはなんか良い)のだけど,そこは置いておく.固有名詞がむやみに多く,説明過剰で固くて読みにくいのは想定内としても,テキスト量のわりに「おっ」と思う部分が少ない.エデン派とノア派の対立(対決から決着まで)などは,ごまかさず描こうとする姿勢がかえってあだになっていた気もする.詰まるところ,冗長なのがいちばん気になったところかなぁ.