野村美月 『“文学少女”見習いの、卒業。』 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

きっとまた恋をする、自分から恋をする! 世界が形を変えるほど胸いっぱいに、人を好きになる!
そうして、いつかわたしも、あの門から出てゆく。
心葉先輩が去った門を見つめ、微笑みとともに『桜の園』の台詞をつぶやいた。
「ようこそ、新しい生活」

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夏目漱石の『こころ』,チェーホフの『桜の園』をモチーフに描く,“文学少女”見習いこと日坂菜乃の「見習い」卒業.どうあっても実らない前提の恋ばなしと,それにまつわる事件を描いてきた,シリーズ番外編の幕引き.色々なものを重く引きずる,描き方をちょっと変えたらどろどろになりそうな,極めて嫌な話(特に前半部)であった.ライトノベルでやるようなストーリーではないとも思うのだけど,菜乃の前のめりな一人称が,非常に上手いバランサーになっていたように思う.登場人物たちが揃って思わせぶりな態度を取りたがるのはちょっとめんどくさかったけど,菜乃に対する厳しさと優しさのバランスのとれた,良い成長物語だったと思います.