- 作者: 日日日,指子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/07
- メディア: 新書
- クリック: 12回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
つねに相手の動向を窺い、不快にさせないように、かといって蔑まれないぐらい自分の立場を保ちつつ、気を遣ってつきあう。それは、たいへんだった。けれど、それがたいていの場合、コミュニケーションだった。
ひなあられ (講談社ノベルス) | 日日日, 指子 |本 | 通販 | Amazon
ぼくはそういう、ふつうの人間関係にうんざりしていた。
魔をもたすだけの会話、空気を読むだけの交流、兵站として無意味な情報を蓄えてそれをまきちらし、戦略をたてつづけなくちゃいけない、コミュニケーションという戦争。ぼろぼろに被弾しすぎないように、けれど相手を傷つけないように、かといってまったく刺激を与えないのもよくない、針の上を歩くような交流。
億劫だった。
「ばけばけ」,「ひなあられ」,「かものはし」,「オレオ」の四短篇を収録.学園ミステリ短篇集,ってくくりでいいのかな.いずれの短篇も,一人称を複数人物で切り替えながら,異常なシチュエーションを浮き彫りにしていくという同一の手法で描かれる.ミステリのためのミステリであり,さらに揃いもそろって「いやな話」ばかりというあたりはいかにもメフィスト掲載らしい(偏見).嫌がらせのようなシチュエーションを,嫌がらせのように面倒臭く描くという.このなかでは表題作がいちばんよかったと思うけど,楽しい作品集ではなかったなあ.