定金伸治 『制覇するフィロソフィア』 (スーパーダッシュ文庫)

「……傷はだいじょうぶなのですか」
「少年漫画の主人公はな、致命傷さえ避ければ、斬られても死なんようにできているんだ」
皆見は、くすりと笑うのだ。
「そんなご都合主義な……」
「ばかだな。それが正義というものだ」

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すめらのみことを目指す大和女子が集う帝塾は日本国の礎である.とんでもない試験をクリアして帝塾に潜り込んだ御間城和と水縄皆見は,真理を収めるという帝室の宝物"玄理の箱"を取り返すよう,十三房筆頭の阿毎天葉から命じられる.
漢たる女子たちの破天荒な戦い.人間の根本原理たるフィロソフィアと認識の戦いは帝塾の覇権争いへ発展,真理をめぐる物語はななめ上のほうへ飛翔してゆく…….やー,素晴らしい.「友情・努力・勝利」をリスペクトしつつ,分かったうえでバカやってるのがすげぇ楽しい.導入もいいけど,白眉は『男』が登場する終章でしょうな.発売当時は論撃小説と言われていた憶えがあるのだけど,それだけの話ではなかったですね.むちゃくちゃバカバカしくてむちゃくちゃ面白かった.