中村九郎 『神様の悪魔か少年』 (富士見書房)

神様の悪魔か少年 (Style‐F)

神様の悪魔か少年 (Style‐F)

「あたし悪女とかじゃないよ。むしろ反対じゃないかな、って思ってる」
「よく言うよ」
「あたしは悪いことばかり思いつくわけじゃないの。悪いことの量はみんなと変わらない」
「じゃ、なんだっていうの?」
「ただ、いいことを思いつかないだけかな」

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四之宮彰人はある「最年少記録」を持つ悪童.高校入学の日,あからさまな悪女,佐村井恵と出会う.嘘と悪意で固められた少年のカウントダウンは,この出会いから大きく揺れ動く.
久しぶりに中村九郎を読んだのだけど,やっぱり私にはよく分からなかった,というか読みとれてない部分が多い気がする.他に真似できないテキストや語りで,悪童と悪女が流れ流されするストーリーは雰囲気あるけど,ちょっと長く感じた.しかし二転三転する暗い話でありながら,露悪的な感じはなく,読後感は不思議と悪くない.なるほど,「青春ノワール」とはうまく言ったものだなあ.