犬村小六 『サクラコ・アトミカ』 (星海社FICTIONS)

サクラコ・アトミカ (星海社FICTIONS)

サクラコ・アトミカ (星海社FICTIONS)

昨夜からの流星雨が夜空を斜めに滑り降りていく。けれどもう傍らにサクラコはいない。そのことを寂しいと思うことさえできない。

Amazon CAPTCHA

世界一の美少女,阿岐ヶ原のサクラコは,その美しさのため囚われの身となる.丁都知事ディドル・オルガはサクラコの美しさを原子力兵器の原動力にしようとしていた.高空庭園に捕えられていたサクラコは,牢番を命じられていた「無敵の個体」ことナギと出会う.
「──サクラコの美しさが世界を滅ぼす。」.世界一の美少女と無敵の個体のボーイ・ミーツ・ガール.テーマは『とある飛空士への追憶』と同様,非常に素直なボーイ・ミーツ・ガール,かつ悲恋もの.というか「〜追憶」以降,まったく同じテーマを手を変え品を変え描いているような気もする.ある仕掛けが用意されているため,中盤以降の悲劇性がぐっと増幅させられている.そつがないとは思うのだけど,もうひと捻り欲しかったというのが正直な気持ち.