- 作者: 円山まどか,hakus
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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毛布は頭までかぶるほうだ。そのままだとつまさきがはみでてしまうから、横むきになって手足をまるめる。
自殺者の森 Suicide Forest (講談社BOX) | 円山 まどか, hakus |本 | 通販 | Amazon
ちょうど、胎児がそうするみたいに。頭の天辺につくった空気穴からは月の光がちろちろとさしこんで、角度によっては毛布の毛羽だった先端をしろっぽく細波だたせる。
だからというわけじゃないけれども、波間にたゆたう感覚。少女にとって、睡眠とはそんな感じだ。
自殺をした者は,自殺者の森にたどり着き,木の姿になって罰を受けつづけることになるという.
第 8 回講談社BOX新人賞Powers 受賞の単行本デビュー作.キリスト教の地獄の一部,自殺者の森をテーマにした短篇オムニバス.様々な境遇・やむを得ない状況から死を選ぶひとびとは,その前日に自殺を思いとどまらせようとする不思議な少女と夢のなかで出会う.登場人物のひとりである僧侶(なぜかキリスト教の地獄に落ちてしまう)の語る死生観が面白い.キリスト教の自殺観,仏教の自殺観.幻想小説のようでもあり,純文学のようでもあり,ライトノベルのようでもある.即物的な面と迂遠な面が居心地悪く同居している感覚.ひとことで言い表すのはなかなか難しいな.先に発表された「木の葉に回すフィルム」のほうが好みといえば好みではあった.けど,いまいち読み取れてないのではないのかという気もしている.