東出祐一郎 『ケモノガリ3』 (ガガガ文庫)

ケモノガリ 3 (ガガガ文庫)

ケモノガリ 3 (ガガガ文庫)

それじゃ、互いの望みを叶えよう」
瞳がカッと見開き、瞳孔が捕食獣(プレデター)のように残酷な色を帯びた。
「──殺す。引き裂き、引き千切り、霞に散れ!」
「──殺す。貫き、抉り、塵に還す!」
「──殺すッ! 全てを賭けて全てを投じて君という存在を虐殺する!」

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この世には罪なきひとを狩る"クラブ"が存在する."クラブ"への復讐のため,世界中を旅する"ケモノガリ"こと赤神楼樹は,ドイツに到着した.次の標的は,苦痛の城(ブルク・クヴァル)の城主,マクシミリアン・ルートヴィヒ伯爵.
ケモノガリ・ロキの復讐は続く.苦痛の城(ブルク・クヴァル)での殺人謎解きゲーム,対サイバネ動物兵器軍団,不老不死を求めて実行した狂気の伯爵,クライマックスは"クラブ"の調停者アストライアとの殺し合い.サービス精神の塊のような話はむっちゃくちゃテンション上がる.犬の身体能力や嗅覚,聴力を具体的に例にあげて「事ほどさように、犬とは怪物なのである」と始まる序盤で一気に物語に引きこまれて,そのまま最後まで息つく暇がなかった.これこそエンターテイメントでしょう.
暴力や殺人の描写もどこかほかの作品と違って見えるんだよなあ.取り立ててグロいわけでもないし,かといって痛みが伝わるようなリアルさともまた違う.うまく言えないんだけど,しかしタイマンの殺し合いを「異常なまでの爽やかさ」という言葉で表す作品はそうはないと思うんだ.まとめると,すっげぇ楽しい傑作でした.