明坂つづり 『赤鬼はもう泣かない』 (ガガガ文庫)

赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)

赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)

善悪を語りつくしてもまだ終わらない。
両手をいっぱいに広げても足りないくらいに手に負えず、悲しい。
さっきから胸が熱くて息苦しい。
ここめがぼくの顔に手を伸ばして、頬に触れた。
ぼくは泣いていた。

Amazon CAPTCHA

「女子の二の腕おいしかったです」.変態性癖が発動した中学生,西遺大豪は,強制的に病院送りにされた挙句,あれよあれよとどこぞの田舎の中学校へ転校させられてしまう.その転校初日,風変わりな教室で,隣の席の女の子,喪庭ここめに大豪はいきなり血を吸われる.
とある田舎の,女の子の姿をした神さまの話.第 5 回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作.落ち着いたテキストの,どっちかってえと雰囲気優先の小説かな.ストーリー的には筋が通っているような,ないような.物語の中心にあるものを,読者にも主人公にも明かされないまま話が進んでいくので,終盤までもやもやふわふわを抱えたまま読むことになる.物語もキャラクターも嫌いじゃないんだけど,趣味のいい話ではないことは否定できないかなあ.しかし「麻枝准絶賛!」というのはなんとなく分かるような気がした.