瀬尾つかさ 『征王の迷宮塔』 (一迅社文庫)

征王の迷宮塔 (一迅社文庫)

征王の迷宮塔 (一迅社文庫)

「それが民にとって、国にとって必要ならば、わたくしはためらいなく、罪なき異人を虐殺いたしましょう」
そういって皮肉に笑うユーフォリアは、支配者の顔をしていた。
かつて聖王家は、その論理でもって、カイルの家を地獄に落とした。そして今、カイルは、同じ論理でもって殺戮を行なおうというユーフォリアに手を貸している。

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神の血を引くと言い伝えられ権勢を誇った六の聖王家は,天に繋がる門を造ろうとした.バラルの塔と呼ばれるその巨大な塔は完成間近で神の怒りを買い,六人の聖王は神の雷で皆殺しになる.それから 17 年後,聖王の子どもたちは,神の御許に至る塔の探索を行っていた.
かつて父を,兄を殺された少年少女の「復讐者の物語」.ダンジョン探索 RPG の緊張感をそのままに,プラスアルファしてライトノベル化といった感じ.『放課後ランダムダンジョン』もそうだったけど,ゲームであれば描かれないであろう集団戦闘やら王家間の権謀術数やら,必要最低限の説明で非常にそつなく描いている.毎度毎度,ほんとうまくまとめるなー.こんなこと読者として言うだけなら簡単なのだけど,そうそう真似できるものではないよな.