間宮夏生 『月光』 (電撃文庫)

月光 (電撃文庫)

月光 (電撃文庫)

死にたくはない。飛躍した発想だと我ながら思ってもいる。しかし、興味はある。彼女がどのようにして僕を追い詰めてゆくのだろうかと。
日常の中にこれほどの刺激があるだろうか。相手はあの月森葉子である。相手にとって不足などあるはずがない。
自信を持って言える。十七年の人生で今が一番充実している。

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野々村は日常に退屈しているシニカルな高校生.クラスメイトである「完璧な美少女」,月森のノートをたまたま拾った野々村は,その中に挟まれた「殺人のレシピ」というメモを手に入れる.その直後,メモに書かれたとおりの状況で,月森の父親が自動車事故にあう.
第 16 回電撃小説大賞最終選考作.「殺人のレシピ」をめぐる,少年と少女の知恵くらべゲーム.不条理なラストはわりと嫌いじゃないんだけど,そこへ行くまでが長いなー.テキストは冗長だし,キャラクターも自意識過剰で感情移入できない.知恵くらべと駆け引きがメインなのだけど,頭でっかち過ぎてイライラした.言うほど知性が感じられず,ただ不自然だった.高校生なんだから,もうちょっと下半身で物を考えてもいいのよ.