小林泰三 『天獄と地国』 (ハヤカワ文庫JA)

天獄と地国 (ハヤカワ文庫JA)

天獄と地国 (ハヤカワ文庫JA)

「遅かれ早かれ資源は枯渇しちまうんだ。ちょっとぐらい早めたからって何が悪いんだ? どうせ、この世界は死ぬ寸前なんだよ」
そう。この世界は死にゆく世界だ。何かを手から離した瞬間に落下して永遠に失うような世界が長続きするはずがない。なのに、なぜこの世界に生命と文明が生まれた? アマツミカボシよりもそっちの方がよっぽど不思議だ。俺はその秘密が知りたい。だからこそ、北限への旅をしなければならないんだ。

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頭上に地面,足元には星界.真空と放射線にさらされ荒廃した世界では,わずかな食料と地熱を大地から採って暮らす村人,村人から奪う空賊,そのおこぼれでなんとか生き延びる落穂拾いが窮々と暮らしていた.落穂拾い四人組のリーダー・カムロギは,胎児と昆虫と触手を合わせたような怪物・アマツミカボシを手に入れる.
前半は巨大宇宙怪獣バトル,後半は世界の「北限」を目指す冒険もの.説明が多くてどこまでがギャグなのか分かりにくい(というか私には正直分からなかった)のはまあこれまでどおり.上下が逆転した世界の秘密は,ある程度 SF を読んでいれば途中で気づくのではないかな.大筋の物語は非常に親切で読みやすく,その上で行われるあれやこれやはとことんえげつない.読み落としていることがけっこうありそうな気はすれどさておいて,楽しゅうございました.