大泉貴 『ランジーン×コード tale.2 Dance with The Lang-Breakers』 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.2 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.2 (このライトノベルがすごい!文庫)

幼い頃、「彼」は二つの言語世界に生きていた。
手話と音声言語、その二つの世界に。

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コトモノとは,遺言詞によって脳が変成し,認識や感覚が大きく変化した人間たちのこと.ひとつの事件が終わり,落ち着いたかと思われた矢先.白いスーツと仮面をまとった集団が新宿に現れた.〈破詞〉と名乗る彼らは,『言葉』の時代を終わらせるために現れたという.
人間の『言葉』と『物語』をめぐる異能言語 SF,シリーズ二巻.かなり洗練されて読みやすくなっているなーという第一印象.「タ」の音だけを認識できない「タヌキ」や,テレビの真似をしないとコミュニケーションが取れない「テレマネ」など,外見や行動の異なる様々なコトモノが出てくるのが楽しい.『言葉』が真にコミュニケーション手段たりえるか? という問題や,ネット動画を通じてパンデミックを引き起こす言語ウイルスなど,アイデアひとつひとつは最先端ではないのかもだけど,有機的ですっきり整理されている.意欲はあれど荒っぽい印象だった一巻からかなり成長の跡が見えた.これなら安心してシリーズを追いかけられる.楽しゅうございました.