野村佳 『骨王(ボーンキング) I. アンダーテイカーズ』 (スニーカー文庫)

骨王 (1)アンダーテイカーズ (角川スニーカー文庫)

骨王 (1)アンダーテイカーズ (角川スニーカー文庫)

「俺は、福原好乃が俺のフルネームを呼んだから殺したんだよ──父さん」

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破骨細胞を活性化させるタルシウス・ウイルスの終息宣言が出されてから 15 年.東京湾上に建設された研究施設,パーフェクト・ブルーを見学に訪れた明良海翔は,従姉が殺される事件に遭遇する.
第 9 回角川学園小説大賞〈優秀賞〉受賞作.体内感染したウイルスが作る「生きている骨」により,人間とは「違う生物」となった《ミミック》と,人間との戦い.人間に擬態して人間を喰らう謎の生き物という,分かりやすく言うと『寄生獣』のような,血と骨と肉に塗れたダークな物語.容赦なく殺し殺される,全編に満ちる不気味な緊張感と,骨や細胞を中心とする言葉の選び方にセンスを感じた.大きな物語の始まりを予感させる第一章だと思う.……しかし,作者はこの作品を上梓して間もなく急逝されたとのこと.続きがもう読めないのはつくづく悔しい.