本村大志 『Tとパンツとイイ話』 (MF文庫J)

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J)

「陽太。俺は宇月さんに嫌われているんだろうか」
「逆に考えるんだ。光里に嫌ってもらえるなんて幸せだと」
「そうか、そういう楽しみ方もあるのか……」

Tとパンツとイイ話 (MF文庫J) | 本村大志, 前田理想 |本 | 通販 | Amazon

緑色の変な猫の夢を見た日渡陽太は,目を覚ますと後頭部が抱き枕のジョゼ子と一体化していた.どうやら完全に融合してしまったらしく,外すことも切り落とすことも出来ない.なぜか髪まで生えてきて,傍目からは「T」字型をした変な髪型の男にしか見えないのであった.
人間の思念が撚り合わさった糸「思念糸」に関わった者は抱き枕と融合したりパンツを盗まれたりするという.第 7 回 MF文庫J新人賞【優秀賞】受賞作.主体性のないタイトルが気になるけど,いちおう形式的には全三話の連作短篇と思っていいのかな.異能ものとしては目立ったところはないと思うというか,導入の「Tの悪夢」(どことなく奇コレ風味)のインパクトだけが突出して強かった感じかなあ.出オチライトノベルというか.男どもがそれぞれいい味を出しているし,読んでて悪い気はしないのだけど,もうひと味あればもっと良くなったと思う.