瀬尾つかさ 『征王の迷宮塔2』 (一迅社文庫)

征王の迷宮塔2 (一迅社文庫)

征王の迷宮塔2 (一迅社文庫)

二年前、塔の入口が解放され、攻略が始まった。
そのときから現在まで、合わせて五千人以上の探索者が塔に挑んだという。
そのうち八割が第一層で脱落し、第二十層まで辿り着いたのは、たったの三百人。
そこからは精鋭が選抜され、第九十九層に足を踏み入れたのが八十人と少し。
そしていま、第百層に辿り着いたのは……。
ユーフォリア・アウ・ラ・シウォリ、ラウアンハンズィエフィ・オウフ・ラ・テェズニ、ザイド・ウゥル・ド・クード、そしてカイル・クレイス。
たったの四名だった。

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カイルたち探索者は,迷宮塔の第九十層に到達した.緻密な組織化と情報共有・情報分析によって迷宮塔攻略は一年で急速に進み,頂上まで残すはあと十層となった.彼らの目は,攻略が終わったあとのことに向いていた.
最上層で待ち受けていたものとは.全百層のダンジョン攻略ファンタジー,完結編.塔の攻略に要した戦略はもちろん,いかに多くの人間が関わり,犠牲となってきたかをしっかりと描いてくれるのが素晴らしい.直接的というよりはほのめかすような見せ方が多いと思うのだけど,三点同時攻略の戦略や,上記引用部分など,最低限の情報ながら十二分に魅せてくれる.改めて上手いなあと思う.描かれない部分についても想像は膨らむところではある,けれど,すっきり完結しているのもらしいかな,と.