- 作者: 目黒条,森村泰昌
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/26
- メディア: 単行本
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もしも今の自分が、鈍感化する以前の、性的な感覚を感じる身体の持ち主だったなら、橋本武留を無駄に好きになったりしたかもしれない。そう可視子は考えた。それできっと、いろいろ葛藤したことだろう。子宮は愚かな臓器なので、自分の需要を満たしてくれる相手さえいれば大喜びだ。それで、感情に「この人好きでしょ? 好きでしょ?」と同意を求める。感情というのは、すぐ子宮の意見に振り回される優柔不断な奴なので、自分もなんとかその男が好きになろうと頑張る。でも、感情の隣には理性という名の皮肉屋がいて、「ナショナリストとなんかよく寝られるわね、冗談じゃない!」などと大声で言いまくる。子宮と理性の間に挟まれて、感情は困り果ててしまい、あれこれ思い悩むだろう。
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ある日の昼休み.昼食を買うため行列に並んでいた 30 歳の独身 OL,関根可視子は股間に強烈な違和感を感じた.トイレでおそるおそる確認すると,性器から袋状のものが 15 センチほど飛び出していたのだった.
特殊な性器を手に入れ,宗教団体やら政治団体やらに巻き込まれたことで,男らしさでもなく女らしさでもない「女子供らしさ」に目覚めた可視子の波乱のその後.性器そのものを中心に置いて,ジェンダーとセックスについてブラックに語り尽くしている.……のだと思うが正直よく分からない.実際にやってることは,男らしさと女らしさをそれぞれ極端に描いたかと思ったら,それを鮮やかにぶち壊して,放り投げてみせる,だからなあ.率直に感想を言うと「なんだこれ」.途中まではテーマのある木下古栗かとも思ったけど,それとも違う感覚.ブラックユーモアと言い切ってしまうには少し黒すぎる気がするが,そこは好みの問題かなあ.やーなんかよく分からないけどすげぇ変な話でした.下品で変な話が好きなら読んでみるといいかもしれない.