勝山海百合 『竜岩石とただならぬ娘』 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

竜岩石(りゅうがんせき)とただならぬ娘 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

竜岩石(りゅうがんせき)とただならぬ娘 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

この家──というか、この辺りでは、町とは違うタブーが多かった。説明されるものもあれば、説明もなくただ「してはいけない」と言われることもあったが、たいていは「神様」にまつわることで、この神様は神社や神棚にいるだけではないのは子ども心にわかった。
大事にしないと祟る神様というのがいるらしかった。

王冠のバナナ

第 2 回『幽』怪談文学賞短編部門優秀賞受賞作「竜岩石」や,ボレアスに掲載された短篇などを含む全 20 篇の「怪しい話」.志怪風の不思議な話あり,現代日本(?)の田舎の怖い話あり,どこだか分からない国の幻想的で悲しい話あり.よく言えばバリエーションに富んでいるんだけど,ありものをとにかく全部詰め込んだみたいな,悪い意味での一貫性のなさの方を強く感じた.単品で見ればいい作品が多いので,変なとこで損してるなあと思った.特に良いと思ったのは「猫と万年青」「馬の医者」「ねぎ坊主」「いいなずけ」かな.見開き 2 ページからの短い,それでいて余韻の残る話ばかりなので,軽い気持ちで読んでみてもいいかもしれないね.