川岸殴魚 『人生』 (ガガガ文庫)

人生 (ガガガ文庫)

人生 (ガガガ文庫)

「いいでしょう。代々伝わる聞き上手。その中でも三大奥義と呼ばれる合いの手があるんです」
「三大奥義! すごいな」
そしてふみは重々しく間をあけて、合いの手三大奥義とやらを公開する。
「『おんなじだね!』『気が合うね!』『奇遇だね!』。この三つこそが三大奥義と呼ばれる合いの手。これを返しておけばあとは相手が勝手に盛り上がってくれると伝えられています」
「ふみの家は代々、人をなめてるのか?」

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九門学園第二新聞部に所属する赤松勇樹は,部長の二階堂彩香に人生相談コーナーの担当を命じられる.理系担当の遠藤梨乃,文系担当の九条ふみ,体育会系担当の鈴木いくみの三人の相談員と協力し,寄せられる青春の悩みに誠意を持って答えていくのだ.
川岸殴魚の新刊は新ジャンル「人生相談ライトノベル」.やー,楽しい楽しい.会話主体の学園ライトノベル,とはいえコメディのレベルとテキスト・小ネタのセンスは恐ろしく手馴れた感じ,突き抜けて安定している.「謝罪界のジャンヌ・ダルク」と「謝るのが無理ならツイッターでそれとなく失敗したなあって感じのつぶやきをすればいい」というネタには本当に吹いた.ギャグと同時にキャラクターも可愛くて,特に体育会系でアホでチビでポニーテールのいくみが CV. 沼倉愛美で再生された(分かるひとだけ分かればいい).「邪神大沼」とまあぶっちゃけあまり変わらないとも言えるのだけど,萌え成分が強化されているぶん,「邪神大沼」よりも入りやすいのではないかな.次回のネタ,もとい相談を作者のブログで募集しているので,読んでみて気に入ったなら考えてみるといい.私も考えてみようかな,と.