東出祐一郎 『ケモノガリ4』 (ガガガ文庫)

ケモノガリ4 (ガガガ文庫)

ケモノガリ4 (ガガガ文庫)

だから、休むな、眠るな、戦って殺し続けろ。世界の悪意を、理不尽で打倒しろ。

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教皇が危篤に陥った.教皇選挙(コンクラーベ)が近づくローマには多数の信者が押し寄せていた.殺人クラブのメンバーである次期教皇の最有力候補,ヴァレリオ・ロベルティを殺すべく楼樹は潜入する.
ローマの街を蹂躙しまくる新たな殺人ゲームの開幕.今回の敵は槍や機関銃で武装したバイクにまたがる黒槍騎士団に,スティレットを構えるロートケプヒェン.ポンポンと殺しまくり死にまくるのは今まで通り,なのだけど,テンポや爽快感は多少落ちるような気がした.ケモノガリとヒトの間で揺れる楼樹の葛藤に,今までより深く踏み込んでいるのもあるけど,劇中の時系列を前後させる描きかたも原因なのかな.ストーリーにおいては,シリーズの大前提のひとつが完全に覆されてしまった(かもしれない)まま後編へ続く,という終わり方で非常にもやっとさせられた.早く続きが出て,このもやもやが晴らされるといいな.