大泉貴 『ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd』 (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd (このライトノベルがすごい!文庫)

ランジーン×コード tale.5 パラダイス・ロスト 2nd (このライトノベルがすごい!文庫)

まず初めに、言葉があった。
世界は言葉によって語られ、綴られ、形作られてきた。
ならば、世界を終わらせるのもまた、言葉でなければならない。

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帰国した凛子の真の目的,『世界』を語り直すもの,そしてロゴが『物語』を追いかけるようになった理由.それぞれに決着がつきながらも,人間とコトモノを抱えたこの世界は続いていく.『ランジーン×コード tale.4 パラダイス・ロスト 1st』に続く,「ランジーン×コード」の完結編.人間側とコトモノ側のそれぞれに理屈や正義があって,人間とコトモノの個々人それぞれに抱える悪意もある,ということを明確にしている.対立の構図を用意しつつ,誰か/何かといった一定の黒幕に悪を押し付けることのない物語になっているのがとても良かった.単純なカタルシスを描くよりよっぽど難しかったんじゃないかと思う.
前も似たことを書いたと思うのだけど,言語 SF と異能ライトノベルのいいとこ取りをした,ジャンル間の橋渡しができる作品だと思うのですよ.完結を機に読んでみるといいかもしれないですよ.