丈月城 『カンピオーネ! XI ふたつめの物語』 (スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ!〈11〉ふたつめの物語 (集英社スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ!〈11〉ふたつめの物語 (集英社スーパーダッシュ文庫)

「ええ。おめでとう、護堂。今日はあなたが『怪物』(フェノメノ)に生まれ変わった記念すべき日。第二の誕生日のようなものよ」
と、エリカはにっこりと笑った。

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エリカ・ブランデッリはどのようにして神殺しとなった草薙護堂の愛人の座におさまったか.それとイタリアの剣の王サルバトーレ・ドニとの因縁のはじまり.
三巻の続きとなる,シリーズのプロローグ的エピソード第二章.三巻に引き続き「省略する方向で」進めてきた部分を,ちょっとずつ継ぎ足してる感じではある.それが非常にスムースで,不自然さや強引さをあまり感じないのは作者の上手いところなのかな.今回はヒロインであるエリカの描き方がとても良かった.エリカは近年まれに見るヒロイン力の強いヒロインだと思うのだけど,はじめは初々しさを見せながら,後の物語に繋がる情熱や強さもしっかり描かれている.ちゃんと考えていないとこういうスムースなつなぎはできないはず.誕生話をまともに書くと「全三〜五巻以上の大長編」になるというあとがきはデタラメではないんだな,と思った次第です.