高木幸一 『俺はまだ恋に落ちていない2』 （GA文庫）

俺はまだ恋に落ちていない 2 (GA文庫)

「『頼んだけど断られた』。そうお伝えするべきです」
「……してもいないのに、そんなことはできません」
「なら頼まれるのですか？　そのようなことを。……ここからは詠羅様の身内としてお話し致しますが、お嬢様は必ず傷つきますからおやめください」
「……それは……」
「なぜ傷つくのか、までご説明しなければなりませぬか？」

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ある日，赤井は後輩の流也から相談を受ける．何やら駅で見かけた女の子に一目惚れしたということで，特徴を聞いてみると，どうやら田所姉妹の妹・詠羅らしい．熱心な流也に頼まれ，赤井は詠羅を紹介することにする，が．
友人の妹ふたりとの三角関係を描く『俺はまだ恋に落ちていない』の二作目．誰も幸せになれない行動を取る主人公に，ことあるごとにジリジリイライラさせられるのだけど，周囲のリアクションを含めて，一定の説得力を持たせるようにしているのは良い．単に流されているのではなく，誠実さゆえの行動が泥沼を招いているのが分かる．そのため，大きな事件があるでもないのに，緊張感があって目が離せなくなる．
ラストは思いの外すっきりまとまる（単純ではないのだけど）．もうちょっとドロドロしていたほうがいいんじゃないかなー，と読んだ直後には思ったのだけど，少し時間が経って，これでいいのかなーと思い始めたところ．あとがきもそうだけど，どことなく作者の誠実さがにじみ出ているような気がするのよな．良いものでした．